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転職のポイント

■ 総 論

 先ず、先生方のご経歴・スキルの「棚卸し」と、次のステージに向かっての「優先順位」を明確にして頂くことが大事だと思います。

①スキルを上げたい
②家族との時間を確保したい
③役職を得て存分に活躍したい
④生活・趣味の為に高報酬を得たい
⑤報酬・地位はもういい時短・週3日でゆっくり仕事したい等

其々のライフプランに従って優先順位は異なると思いますが、それによってマッチする病院群は全く変わってきます。
焦点がぶれるとその分ベストマッチの確率が下がりますので、先ずはご自身の価値観に基づいた確固たる優先順位が必要だと思います。

■ 直接医療機関に問い合わせる場合の注意点

病院の初期対応について

病院の実力と、事務方の対応レベルが合致していないことがあります。事務方(医師採用担当者)の対応が、杓子定規であったり柔軟性に欠けていたりしても、それをもって病院の対応と受け取らない方が賢明です。実際の医師採用決済者(院長・診療部長・事務部長など)と話をしますと、とても応対が適切で、話が速やかに通るケースもあり、初期対応をする担当者の言動や応対をもって病院を判断するのはリスクが高いといえます。印象が良い場合、逆の場合も、懐深く慎重に物事を運ぶことが大事です。

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交渉のコツ

条件交渉は丁寧に細かく具体的にすると活路が見い出せることが多いと思います。例えば、小さなお子様がいらして当直・オンコールが出来ない場合「当直オンコール無しで大丈夫ですか?」と問えば、「当院ではドクターは皆、週に1日の当直をやって頂いていますので、当直は必須です。」と返答が来て、この流れではこれで終了です。この場合、こう聞くのです。「私は子供が落ち着くまでの1〜2年は当直できませんが、3年目以降は前向きに考えたいと思っています。週1回は難しいのですが、月に1回程度なら旦那の理解を得て、なんとか出来そうです。」(できそうならば)と。そうすると、担当者はこの言葉をそのまま、医師採用決済者(院長・診療部長・事務部長など)にお伝えするので、それでは先ずお会いして詳しく話を聞いてみましょう、という前向きな返答が来ることが多いのです。要は、出来る出来ないという白黒ではなくて、どの程度できるのかという程度の細分化であり、それに時期的な視点も添えると、良識的な医療機関なら前向きに考慮頂けるケースが殆どだといえます。気の利くコンサルタントは、日頃からこういうことを実践していて、小さな機縁を拾って来ます。

■ 知人友人の紹介で入職する場合の注意点

雇用条件の書面化

先輩や同僚、または開業した後輩からの依頼によって就任する場合のポイントは一つだけ、と申し上げても良いかと思います。それは、入職前に採用条件を確定・確認するということです。信頼関係の上にある採用・入職ですので、病院の実情や人間関係などの情報もある程度入ってくるはずですが、近しい関係であればある程、改まっての勤務条件を聞きづらいということが多いようです。入ってみて、週1回担当する当直が年俸に含むという条件であったり、週に数回の早番遅番を聞いていなかったり、他の先生方はグリーン車代が支給されていたり、“いくら親しいといってもそれは無いよね〜”と思っても後の祭りです。“親しき仲にも礼儀あり”ですので、後から不快な思いをしない為にも書面にて採用条件を出して頂くのが賢明です。紹介会社を利用して転職する先生方の中には、知人の紹介転職で痛い思いをされて(条件が違ったり、退職時期が大幅にずれたり)、直接問い合わせることが出来るけれども、敢えて紹介会社を通すという先生方もいらっしゃいます。

■ 仲介会社を通して入職する場合

信頼できるか?

紹介会社を通して入職する場合、どうでしょうか、一番大事なのは“その担当コンサルタントが信頼できるかどうか?”だと思います。情報を持っているコンサルタントは意識している場合もそうでない場合も、しようと思えば情報を操作できますし、自分の感情で染めた情報をまるで透明な情報のようにお伝えすることも、やろうと思えば出来てしまいます。ですので、性格上の相性もあるかと思いますが、担当となったコンサルタントの方が、会社の知名度や規模やシステムではなく、自分にとって信頼できるか?がポイントになります。信頼できるということは正確な情報が伝達されるということとほぼ同義であり、そして本音の意見が聞けるということでもあり、そういう有用な情報が集まることによって、大切な判断が的確にできることになるかと思います。

コミュニケーション

次に大事と思えるのが“コンサルタントとのコミュニケーション”です。コンサルタントが病院から聞かれる必須ワードとして、「逢った感じはどうでしたか?人あたりはどうでしたか?」という、人柄を問うものがあります。その時、コンサルタントは病院担当者に嘘は言えません。出したメールは必ず返信してくれるのか、目を合わせて挨拶してくれたか、業者ではあるけれどもフェアに接して頂いているか、権利と義務のバランスが取れているか、等々、感じたことをお伝えします。ですので、紹介会社を通す場合、コンサルタントは広告塔だと思って頂いて、そのコンサルタントとの関係を丁寧にして頂くことが、ご縁のある医療機関に巡り合うスタートとなるように思えます。転職活動は、コンサルタントとの接点から始まっています。

情報共有

情報は大事です。そして情報のキャッチボールが大事です。先生方には入ってこない情報をコンサルタントが持っていたり、紹介会社には無い情報を先生方がお持ちの場合もあります。その情報を共有させて頂くことが大事です。例えば、入職したいと思っている病院の同診療科で5歳上の先生が少し気になっていたとします。そんなことを業者に聞いても、と早合点しないで聞いてみて下さい。事務長や理事長との直接のパイプがあったり(よく会食する)、気になる先生の先輩を知っていたり、聞いてみると、その5歳上の先生は来年の春に実家の病院を継ぐことになっていて帰省することが決定している、ということもあり得ます。情報は適切な時に適切な人と共有することによって、強い武器になります。先生が本音で聞いて来られるなら、コンサルタントも本音でお応え致します。
こういう例もあります。是非Aという病院に就任したいと、O先生は思っていました。しかし、最後の決心がつきませんでした、A病院が買収されるという噂を耳にしたからです。早速、相談がありました、A病院はどうなってしまうのだろう、と。私は総力を挙げて情報を収集しました。知り合いのドクター、MR、医療機器卸しの役員、近隣病院出身の知人等、そして実際を突き止めました。買収先は決定しており、経営基盤は盤石で医療経営に定評のある法人でした。O先生は安心して就任されて、チャンスを潰さずに済みました。
情報を内に留めて、慎重に判断なされることも時には大事でしょう。しかし又、機微な大切な情報でも、信頼関係のもとに共有することによって、小さなチャンスを最大限に活かせることもあります。